心理相談やカウンセリングについて、「どんな風に進んでいくの?」「どれくらい通えばいいの?」そんな疑問を持ったことはありませんか?
今回は、心理相談が実際にどのように進んでいくのか?というテーマで、分かりやすく解説していきます。
1.はじめに:心理相談とは
まず最初に「心理相談」とは、ここでは心理職(公認心理師や臨床心理士)が対話を通して、相談者の心の悩みをサポートすること、ということにしておきます。
一般的には「カウンセリング」という言葉が最も広く使われているかと思いますが、今や“カウンセリング”という言葉はとても広義になってしまって、人によって指しているものがバラバラです。
- エステや美容院での相談も「カウンセリング」
- メンタルケアの傾聴サービスも「カウンセリング」
- 深層心理を扱う精神分析も「カウンセリング」…
となると、いったい何を意味しているのかわからないですよね。
そのため、当サイトではより明確にするために、「心理相談」という言葉を使っています。
2.心理相談って、どんなことをするの?
心理相談では、臨床心理士や公認心理師など専門家とともに、自分の考え方や感情、人間関係のパターンなどを丁寧に見つめ、整理し、必要に応じて変えていくプロセスを取ります。
そして、状況に応じてさまざまな心理療法の技法が使われることがあります。
心理療法って何?
心理療法(サイコセラピー)は、理論や科学的根拠に基づいた心のケアの方法のこと。
近年よく使われる心理療法の例:
- 認知行動療法(CBT):考え方の癖や行動パターンを見直していくアプローチ
- 精神分析的心理療法:無意識や幼少期の体験を深く掘り下げていく方法
- スキーマ療法、対人関係療法、マインドフルネスなどもあります
つまり、「ただ話を聞いてもらう」だけではなく、具体的な方法で自分と向き合う時間なんですね。

3.どれくらい通えば効果が出るの?
「何回くらい通えばいいですか?」というのは、よくある質問です。
実はこれは、その人の悩みの深さや目指すゴールによって大きく変わります。
一般的には、13~18回のセッション(相談)で、50%の人が改善をみせるという研究があります(※1)。
ただし、相談内容によって、必要な相談回数にはかなり開きがあるとも言われています。
例えば「涙もろい」という相談は、5回程度の相談で済むかもしれませんが、性格について変化をもたらしたい場合は、年単位の継続が必要なこともあるでしょう(※2)。
心理相談を「木」にたとえてみよう
相談の回数は、悩みの深さによって変わるとお伝えしました。
例えば悩みの深さを、木に例えてみましょう。
あなたが改善を目指したいのは、どの部分の悩みでしょうか。

きっと最初は今現在の困りごと(枝葉の部分)をきっかけに相談をしたいと思う方が多いかと思います。
でも実は現在の悩みには、幼少期の体験(幹の部分)や、生まれつきの特性(根っこ)などが絡んでいることも多いです。
心理職は皆さんのお話を伺いながら、今の苦しさがどこから来ているのかも丁寧に紐解いていきます。
特に幼少期(幹の部分)で多く傷ついてきた方は、多方面でつらい思いをしていることが多いです(※3)。
そのため、幹の部分の問題をケアしようとすると、相談の回数や期間が増えがちです。
尚、生まれ持った気質や特性など(根っこの部分)自体は変えるのが難しいです。
そのため、生活環境の方を変えてみたり、根っこの気質や特性を踏まえたうえで、現在の行動パターンを見直してみたりします。
相談回数の目安
このように現在の悩みは過去から繋がっていることが多いですが、相談者の皆さまの目的によっても、相談回数は変わっていくでしょう。
イメージとして、以下に例を挙げさせていただきます。
- 葉っぱだけを摘む: ストレスがたまった、愚痴を聞いてほしい、といった単発的な相談。傾聴によって一時的にスッキリする。
- 枝を整える: 考え方の癖を認知行動療法で修正したり、行動パターンを変えるような取り組み。10〜15回前後で変化が見えることも。
- 幹にアプローチする: 「母親との関係が影響している気がする」「いつも人に見捨てられる気がする」など、幼少期の体験に深く向き合う作業。 これには年単位の時間が必要になることもあります。
例えば ① のような、比較的軽い相談であれば、身近な人に話してみるのも手かと思います。
一方で、② や ③のレベルになってくると、専門家の手を借りた方が安心かもしれません。
あなたという「木」を見てくれる人に相談してみよう
ご自身の悩みの深さがどれほどのものかは、実際に自分で知るのはなかなか難しいのではないでしょうか。
そのため、まずは心理職に相談をして、自己理解を深めてみるのも手です。
ただしここでいう「心理職」とは、公認心理師や臨床心理士などの有資格者で、心理学の知識に基づいた心の分析や助言ができる人を指します。
資格をもっていることの重要性
公認心理師あるいは臨床心理士は、心理相談を行う上で保有しておくべき必要最低限の資格ともいえます。
(公認心理師は心理系で唯一の国家資格です。
臨床心理士は民間資格ですが指定の大学院修了が必須で、古くからある信頼性の高い資格です。)
そして巷で「カウンセラー」を名乗る方が、必ずしも心理職ではない(信頼性の高い資格をもっているとは限らない)という点には注意が必要です。
もちろん資格を持っていない方でも、素晴らしい相談を展開している方も多くいらっしゃいます。
しかし公認心理師や臨床心理士であれば、いずれも職業倫理の基準が高いため、少なくとも依存や洗脳などが発生するリスクは少なくなるといえます。
心理職ってどんな人なのか?知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
心理学に基づいた分析や助言ができること
研鑽や経験を積んだ心理職であれば、心理学の知見に基づき、あなたがなぜ苦しんでいるかを分析し、どうすれば楽になるかという見通しを提供することができます。
こうした分析や、見通しをもつ営み(先述したように、「木」を見ること)を、「見立て」といったりもします。
有資格者といえども、個々人によって技能が異なったり、相性もあったりするため、相談相手がきちんと自分のことを理解してくれているか気になった時は、相談相手の心理職の「見立て」を聞いてみるのも一つの手かもしれません。
4.心理相談は、どんな風に進んでいく?
先述したように、心理相談は「木」の全体を理解する「見立て」から始まります。
相談内容によりますが、1~3回くらい相談をする中で、心理職が相談者のことを理解し、「見立て」ができてくることが多いようです。
そのため心理相談のうち最初の数回は特に、心理職が相談者のことを理解するために、いろいろと質問をすることも多いです。
(因みに「見立て」は一度できたら終わりではなく、相談が進んで新たな情報が出てくる度にアップデートしていくものといわれています。)
例えば医師もいきなり治療を始めるのではなく、「問診」や「診察」などで情報を集めてから治療に入りますよね。
心理職も「見立て」をもたずにいきなり心理療法などを行うことは、なかなか難しいと思われます。
一般的には、そうして相談者の「人となり(木)」を理解し、目標設定などの合意をしたうえで、本格的なサポートに進んでいきます。
心理相談は、気軽に行って良い!
このように文章で書くと、相談までのハードルを高く感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
でも心理相談に行くことを、身構える必要は全くありません。
話がまとまっていなくても、「こんな悩み相談してもいいのかな」と思うことでも、何でもまずは相談してみることをおすすめします。
(心理相談を体験した方からは、「迷ったけれど、もっと早く行っとけばよかった!」という声も多く聞かれます。)
ぜひこの記事を読んで興味をもたれた方は、心理相談を試してみてください。
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【参考文献】
(※1)Hansen et al., 2002
(※2)Kopta et al., 1994
(※3)菅原ますみ「小児期の逆境的体験と保護的体験」