先生、ところで“自動思考”っていうのは一体何なんですか?

カピバラのカピオは、2週間ストレス日記をつける中で、何度も同じような考えが頭に浮かんでいることに気づきました。
今回は、認知行動療法(CBT)の中心的な概念である “自動思考” について学んでいきましょう。
1.自動思考とは?
自動思考とは、出来事に対して 瞬間的かつ自動的に浮かんでくる考え のことです。
私たちは普段、意識せずにこうした思考を繰り返しています。
例えば――
- 会議で指名された瞬間 → 「失敗したらどうしよう」
- メッセージの返信が遅い → 「嫌われたのかも」
- 小さなミスをした → 「自分はダメだ」
こうした考えは一瞬で浮かび、感情や行動に強く影響します。

自動思考は、まるで反射神経みたいなもの。良い方向にも悪い方向にも働くんだよ
自動思考の特徴
- とても速い:意識する前に浮かんでいる
- 信じ込みやすい:自分の考えを事実のように感じてしまう
- 感情に直結する:ネガティブな思考なら強い不安や落ち込みにつながる
- 個人の経験や信念から生まれる:過去の体験や価値観の影響を受けている
認知行動療法(CBT)では、この自動思考をキャッチし、客観的に眺め直す練習をしていきます。
2.自動思考は悪者なのか?
先生、自動思考って、なんだか悪いもののように聞こえます…

セージ先生は首を横に振りました。

いいえ、カピオ。自動思考は必ずしも悪者じゃないんだ。むしろ人間が素早く判断するために必要な仕組みなんだよ
セージ先生は、横断歩道を渡るシーンを例に説明を続けます。
例えば『青信号=渡る』という自動思考があると、いちいち考え込まずにスムーズに道を渡ることができます。

これはある意味、便利なことではないでしょうか?
自動思考があるお陰で、人はスムーズに判断ができるというメリットがあると言われています。
なるほど…!たしかに役に立つ自動思考もあるんですね


そう。ただし注意が必要なのは、昔に作られた自動思考が今の現実に合っていない場合があることなんだ。たとえば世の中のルールが『赤信号=渡る』に変わっていたらどうなるだろう?
えっ、それじゃあ『青信号=渡る』のままだと危ないですね!


その通り。だから自動思考も定期的に見直す必要があるんだよ。
ただし、こうしたルールを変えるのは簡単じゃないとも言われています。
実際に「赤信号で渡っていい」と頭で理解しても、体はつい止まろうとするのではないでしょうか。
あぁ…たしかに習慣はすぐには変えられないんですね


そう。だから、今の自分にとって得じゃない自動思考に気づけたとしても、そこから柔らかい考え方に変えていくにはトレーニングが必要なんだよ
3.自動思考の例(カピオの場合)
カピオが日記に書いた自動思考を見てみましょう。
- 「どうせ僕なんて役に立たない」
- 「みんなに嫌われるかもしれない」
- 「また失敗するに違いない」
書き出してみると、いつも同じような考えにとらわれてるんだなぁ…


そう、それが“考え方のクセ”だよ。気づくだけでも一歩前進なんだ
4.自動思考に気づくためのコツ
1.強い感情が出た時に注目してみよう
不安・怒り・落ち込みなどが強いときは、自動思考が浮かんでいる可能性が大きいかもしれません。

2.頭に浮かんだ言葉をそのまま書き出してみよう
「○○かもしれない」「どうせ△△だ」という言葉がヒントになるかもしれません。

3.繰り返し出てくる考えを探してみよう
同じフレーズが出てきたら、それが自分の“パターン”です。
まとめ ― 自動思考は変化の入口
- 自動思考とは、出来事に対して瞬間的に浮かぶ考えのこと
- 感情や行動に直結し、ネガティブなパターンはストレスを強めてしまう
- 書き出して気づくことで「考え方を柔らかくする」練習が始められる
カピオも「自動思考」に気づいたことで、次のステップに進む準備ができました。

次回は、自動思考の中でも「認知の歪み」という概念について学んでみよう
「歪み・・!?」なんか怖い感じがしますが、ぜひ教えてください!
