
ストレスはなくせないけれど、乗りこなすことはできるんだよ
へぇ~。先生が言っていた、ストレスを乗りこなすヒントになる「認知行動療法」って、何なんですか?


うんうん、それでは今日は認知行動療法って何なのか、分かりやすく説明するからね。
1.認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)とは?
認知行動療法(CBT)は、1970年代にアメリカの精神科医アーロン・ベックによって体系化された心理療法です。
「考え方(認知)」と「行動」に焦点を当て、心の不調を改善することを目的としています。
特に「ネガティブな考え方のクセ(自動思考)」に気づき、バランスのとれた考え方に修正しながら、実際の行動も少しずつ変えていく――
このシンプルかつ実践的なアプローチが、多くの研究で効果を認められてきました。
先生、ちょっと難しくてよく分かりません。


ありがとう、カピオくんは素直だね。
ここでは、自分の考え方や行動のパターンを見直して、より生きやすくなる方法なんだな、くらいの理解で大丈夫だよ。
2.CBTの基本モデルとは?
認知行動療法には、心の働きを整理するための「CBTモデル」があります。
CBTでは、何か「きっかけ(状況や出来事)」が起こった時に、人間には以下の4つの反応が生じるとしています。
4つの反応
- 認知(考えが浮かぶ)
- 感情(気持ちを感じる)
- 身体反応(からだが反応する)
- 行動(行動を起こす)
そしてこの4つの反応は、それぞれに影響し合っていると言われています。
図にすると、以下のような形です。

たとえば、友達からのLINEにすぐ返事が来なかったとします。
「嫌われたのかもしれない…」と考えれば(認知)、不安や落ち込み(感情)が強くなり、部屋に閉じこもる(行動)ことがあります。
結果として、人間関係がさらにぎこちなくなるかもしれません。

一方で「相手も忙しいのかな」と考え直せば、不安は和らぎ、普段通りに過ごすことができます。
すると、人間関係も保たれやすくなるのです。

このように、「きっかけ → 認知・感情・身体反応・行動 → 結果」という流れを理解し、自分の思考や行動を少しずつ変えることが、CBTの大きなポイントになります。
先生、なんとなくイメージが湧いてきました。


そうかそうか。では続いて、4つの反応(認知・感情・身体反応・行動)の具体例をみていくよ。
3.認知・感情・身体反応・行動の具体例
CBTでは、日常の中でどんな「認知」「感情」「身体反応」「行動」が起こるのかを整理していきます。以下は具体的な例です。
🧠 認知(考え方の例)
- 「どうせ自分なんてうまくできない」
- 「みんなに嫌われているかもしれない」
- 「きっと大丈夫、何とかなる」
- 「相手も忙しいだけかもしれない」
💭 感情(心の反応の例)
- 不安、焦り
- 落ち込み、悲しみ
- 怒り、苛立ち
- 安心、安らぎ
🫀 身体反応(体に出るサインの例)
- 心臓がドキドキする
- 胃がキリキリ痛む
- 肩や首がこわばる
- 呼吸が浅くなる
- 逆にリラックスして体が軽く感じられる
🚶 行動(とる行動の例)
- 部屋のドアをしめて、布団にもぐりこむ
- 人から連絡が来ても返信せず、スマホの電源を切る
- 不安で何度も確認してしまう
- 信頼できる人に相談する
- 深呼吸やストレッチで気持ちを落ち着ける

ところでカピオくん、4つの反応の中で、変えやすいところはどこか分かるかい?
うーん・・・なんとなく、行動とかは変えやすそうかも


さすがだね!4つの反応の中でいうと、「認知(考え)」と「行動」は変えやすいと言われているよ
4.ポイント:変えやすいところから変えていく
認知行動療法(CBT)は、何か出来事が起こった時の4つの反応(認知、行動、感情、身体反応)のうち、「認知」と「行動」に着目し、必要に応じて変えていくプロセスをとります。
「認知」と「行動」に注目するので、「認知行動療法」というわけです。
先ほどお伝えしたように、4つの反応は全て繋がっているのが認知行動療法の考え方でした。
「認知」や「行動」を変えていくことで、ネガティブな感情や身体の反応も変わっていくことを目指します。
先生、早くやってみたくなりました!


興味が湧いてきたんだね!実践に取り組む前に、いくつか追加で伝えておくことがあるよ。